一般社団法人 相続実務協会



畑を売却して事業ビル2棟を購入、資産価値をアップ

固定資産持ち出しから収益3,220万円
相続税2億1,400万円節税

ご家族の状況

現状
節税対策に8億円借りることを勧められていた

山下さんは農家の長男として先代から多くの土地を相続して維持してきました。先代までは農家として自宅周辺にある畑を耕作していましたが、区画整理が始まり、所有する農地はすべてが宅地となり、土地だけで30億円以上の評価に跳ね上がりました。

相続税の節税のために勧められて賃貸マンションを建てており、借入も残っています。広い土地が多く、土地のほとんどは更地です。そうしたことから、相続税が改正になってからは、節税対策を頻繁に勧められるようになりました。建築費8億円を融資するので、賃貸住宅を建てるように提案されて、契約するしかないかと、決断しきれずにいました。

このまま相続になると維持してきた土地を売っても足りないかもしれないと、不安になって本を読み、セミナーに参加して相談に来られたのです。「相続プラン」の委託をもらい、不動産の現地確認をして、課題を整理すると、相続税の予想額は8億円となり、計画的な節税対策が必要です。現在の賃貸収入は5,000万円ありますが、資産規模からみると利回りは2.6%で、賃貸事業の改善も必要とわかりました。

財産の状況

活用しきれていない畑を売却する

対策(1)

山下さんの土地があるエリアは、主要都市の近郊にありますが、これからのことを考えると、人口増や値上がりが期待できる立地とは言えません。その現状を踏まえて活用を考えると、融資を受けて賃貸マンションを建てていくのはリスクがあります。駐車場などにしておくのも得策ではありません。また、山下さんが所有する土地の面積から考えると同じ立地にまとめて所有していること自体がリスクになります。

よってそうしたエリアのリスクを回避するために、所有地を売却し、比較的価値が下がりにくいエリアを探して買替えることを提案しました。資産を移して不動産活用をすることで不安は軽減できます。売却の候補地は活用しきれていない1,000坪ほどの畑で、土地活用を勧められていたところです。最寄駅より徒歩10分程度の郊外の住宅地ですので、戸建て用地として分譲会社から購入希望があり、4億円以上で売却がまとまりました。

手残りシミュレーション

土地評価の高い立地を購入して小規模宅地特例効果を高める

対策(2)

畑の売却代金は譲渡税を引くと手元に3億3,000万円残ります。それを原資として資産価値の高い立地を購入する方針とし、ひとつはブランド力のあるエリアで最寄駅から徒歩2分で8%で稼働しているテナントビルと、もうひとつは大都市の中心エリアにある土地を購入し、事業ビルを建てて運営する2つに分けて所有していくご提案をしました。

ともに誰でも知っている地名でまだまだ賃貸需要が期待できるエリアで、将来的な資産価値の下落リスクも低い立地だと判断をしたところです。資金が足りないところは金融機関からの借入としました。

この資産組替により、土地の面積は約10分の1になりましたが、土地路線価は5.9倍となったことで、貸付事業の小規模宅地等の特例も1.8倍になり、減額効果が高まりました。

資産組替による節税と収益アップ

小規模宅地等の特例効果の検証

事業ビル2つに組替えした場合の評価額と収入の確認

畑を売って2カ所購入

対策効果の検証

ここがポイント

  • 資産組替は賃貸需要が見込めるエリアを探す
  • リスク分散として居住地以外の将来性のある立地で購入する
  • 土地評価が高い立地は特例効果が高まるので有利



古いアパートを売って区分マンションを購入

収益は倍になり資産価値も増
相続税1,289万円節税

ご家族の状況

課題
アパートが古くなった、空家もある妻子が困らないようにしておきたい

小川さんは農家だった父親から土地を相続してきましたが、農地の多くは区画整理地内に入ってしまい、宅地開発されましたので、街並みもすっかり様変わりしました。区画整理のため、土地の面積は半分近くに減ってしまいましたが、価値は何倍も上がりましたので、相続税が気になり始めました。

それだけではなく、所有するアパートが古くなってきたこと、空家もあること、権利関係の複雑な土地があることなどから、自分が亡くなったときには妻子に負担をかけたくないという思いがあり、いまのうちになんとかしておきたいと、ご夫婦で相談に来られました。財産を評価すると2億7,000万円ほどで相続税も4,000万円以上になると試算できました。

財産の状況

活用しきれていない畑を売却する

対策(1)

小川さんの所有する不動産は父親から相続したもので、アパートも空家もともに築40年以上経っており、これから維持するには修繕費などがかかります。建てなおすことも検討しましたが、小川さんの不動産のあるエリアは将来の人口減が想定され、賃貸需要には不安があります。よって賃貸需要の落ち込みが少ないと想定される人気エリアに移すための資産組替を提案しました。

小川さんはすぐに売却を決断をされて、アパートは入居中のままの収益物件として売却し、空家は解体して、更地で売却することができました。

資産組替(1)アパートの売却

人気エリアに区分マンションを購入する

対策(2)

アパートと空家の売却代金と現預金を足して、購入原資を1億円として、区分マンションの購入を提案しました。相続税の節税対策であれば、高額なタワーマンションではなく、賃貸しやすいワンルームや1LDK程度のコンパクトなものが適切で、将来の相続で分けやすいことも踏まえて、相続人の数だけ購入することをお勧めしています。

小川さんの場合は長女、二女、長男の3人の子どもに分けられるよう3つの区分マンションにすることを提案、人気のエリアで複数の物件を購入されました。比較的流動性が高いため、相続が発生した場合でも子どもに負担がかかりません。また、資産性が保たれたうえに相続税評価が圧縮できるので相続税の減税につながります。

資産組替(2)売却手取りと自己資金5,100万円で不動産を購入

古くなったアパートを売って区分マンション3室購入

対策効果の検証

ここがポイント

  • 不動産は固めて同じエリアで所有するよりも賃貸事情のいいエリアに分けたほうが得策
  • 古いアパートでも利回りで判断されるため入居者が入ったまま売却するほうがよい
  • 空家の建物は解体して、更地で売却するほうが売りやすい