購入
空家は売却。現金で持つより賃貸不動産に
相続税1,721万円節税
課題
現預金は評価減できず。課題 相続税を3,000万円以上払った
森さんの姉は、夫に先立たれて一人暮らしをしていました。きょうだいは姉と森さんの2人で、子どもにも恵まれなかったことから、相続人は妹である森さん1人となります。その姉が病気で亡くなり、相続手続きが必要になったため、相談に来られました。
姉は亡夫から自宅のほかに1億円以上の現預金や有価証券を相続しており、そのまま残していました。亡くなるまでそんなに金融資産があることは聞いていなかったため、驚きました。姉は節税対策などなにもしていませんでしたので、相続税の申告が必要になり、3,000万円以上の相続税を払うしかありませんでした。
姉が残してくれた現金から納税はできたのですが、今後は森さん自身の相続のことを考えないといけない立場です。夫はすでに他界していますので、森さんが亡くなった場合は、2人の子どもが困らないように、いまからできることをしておきたいということです。
財産の状況
空家になったマンションは売却する
対策(1)
相続した姉の自宅は築年数の古いマンションで、森さんも2人の子どもも住むことはありません。賃貸するにもリフォーム代がかかります。そこで、築年数や間取りなどを考慮すると持ち続けるよりは売却したほうがいいと提案しました。持ち続けた場合、今後は修繕費用などの出費が増えてくると想定されることも考慮した結果です。
こうした説明によって森さんはすぐに売却を決断され、姉の荷物を整理した後、現況のままで、売却するようにしました。築年数は経っていても最寄駅から近く、環境のいい立地でしたので、ほどなく売却することができたのです。中古マンションの場合は、購入した人がリフォームするほうが現実的だと言えます。
財産の82%が金融資産。
現金で持つよりも賃貸不動産を購入する
対策(2)
マンションの売却では譲渡税がかかりましたが、それでも手元に1,000万円ほどの現金が残りました。有価証券を合わせると金融資産は1億円以上となったのです。森さん自身の生活は夫の遺族年金と自分の年金で十分足りており、1億円もの金融資産を使う予定もありません。このままでは2人の子どもが負担する相続税は1,782万円と試算とされました。
姉の相続税を3,000万円以上も払ったばかりです。自分のときにも相続税の負担があるとわかると残念な気持ちだと言われましたので、いまからできる節税対策を提案しました。現金で区分マンションを購入して賃貸しておく対策です。現金が賃貸不動産に変わることで30%程度の評価に下がるので、確実な節税になります。提案したとおりに、森さんは2人の子どもが分けやすいように区分マンションを4部屋購入されました。
現金を賃貸不動産に替えてから贈与したほうが得!
賃貸不動産を子どもに贈与。節税しながら財産の前渡し
対策(3)
不動産を購入するだけで大きく節税になりましたが、森さんが所有したままでは賃料収入となり、年数を重ねるとまた現金が増えてしまいます。現金増を避けるため、購入した区分マンションを2人の子どもに贈与することを提案しました。賃貸不動産の評価は時価の30%程度に下がっているため、税金の負担を抑えながら、子どもたちに贈与することができます。贈与することで相続税は節税でき、家賃収入は子どもが受け取ることができるため、ともにメリットとなります。
贈与は計画的にしていく
現金1億円で2,500万円の区分マンション4室購入・贈与
対策効果の検証
ここがポイント
- 空家となった家でも固定資産税や修繕費がかかり負担になる
- 金融資産で収益物件を購入することで評価が下がり、相続税が減らせる
- 家賃収入が入る収益物件を贈与することも節税になる
財産それぞれにできる対策を検討する
保険・贈与・売却・購入、相続税2億8,434万円節税
課題
不動産だけでなく家賃収入も入る
池田さんの母親は農家の長男のもとに嫁ぎ、祖父母と同居しながら代々の土地を守ってきました。農地は区画整理されて宅地となり、農家から土地持ちの資産家へと変わらざるを得なかった時代でした。数年前に父親が亡くなったときに、母親は相続税の負担がない割合で財産の半分を相続、残る半分は池田さんと姉が相続しました。母親の納税はありませんが、池田さんと姉には2億円ほどの相続税がかがり、土地の一部を売却して納税しました。
その後、相続税が改正されて税率も上がったことや母親は80歳をすぎましたので、いつ相続になってもいいように準備しておきたいと相談に来られました。母親の財産を確認すると不動産だけでなく、節税対策で建てたアパートや駐車場があり、賃貸事業の管理会社もつくっています。家賃が毎月入るため、現金も2億円以上もあることがわかりました。このままでは相続税がそれ以上にかかるため、相続になればいままで貯めてきた2億円の預金も納税のためになくなってしまいます。姉は資産家に嫁いでいるので不動産はいらないと言っていますので、ある程度の現金を渡したいと考えています。
財産状況
必要資金を想定して、対策の順序を整理する
対策(1)
財産の8割が不動産ですので、小規模宅地等の特例や土地の評価減など、必須となる節税効果を検証するだけでも、節税ポイントは整理でき、4億円台の納税に収まると想定できました。しかし、このままでは、姉が相続する現金まで合わせて考えると少なくても6億円以上の現金が必要になると想定され、所有する不動産の半分を手放さないと足りなくなります。相続になってからでは余裕がなくなるため、計画的に売却しておくほうが無難といえますので、優先順位を立てて取り組むことを提案しました。
現状で相続発生時の納税資金の捻出についての考察
すぐにできる節税対策に取り組む
対策(2)
相続税の予想額が大きいため、いくつかの対策を組み合わせることを提案し、そのなかでもすぐに取り組める対策を進めました。生命保険は非課税枠分を一時払いし、現金贈与も実行しました。不動産対策として、使う予定のない更地を売却し、売却代金で1棟マンションを購入しました。また、相続になったときに土地の評価で減額できるように、2つの駐車場について、小規模宅地等の特例が使える要件を備えるようにも整備しました。これで相続税は2億円以上下げられるめどとなりました。
対策した場合の相続税の試算
現金で収益物件を購入する
対策(3)
次の課題は預金の2.3億円です。池田さんの母親の預金は夫から相続したもので、その上に毎月家賃収入が入りますで、これからも減ることはありません。母親の年代では大きな消費もしないため、このままでは相続税が増えるばかりです。
そこで、この機会に節税対策として思い切った活用をすることを提案しました。自宅のあるエリアではなく、これからも資産価値の下がりにくい人気の高いエリアに所有されることをお勧めしました。紹介したのは人気の高いエリアで、最寄駅から徒歩3分の場所で、テナントに学習塾が入居している物件です。将来、池田さんが相続してもいいと思えるものでしたので、母親に説明をして購入を決断されました。預金を解約した現金で購入しましたので、返済の不安がなく、テナントも入ったままなので、安定した家賃収入が入り、節税効果が生まれました。
収益物件の購入検証
現金2.3億円で賃貸不動産を購入
対策効果の検証
ここがポイント
- 土地評価や特例の検証を最初にし、すぐできる対策は早急に実行する
- 賃貸中の収益物件はそのまま購入するのが定番
- リスク分散として居住地以外の将来性のある立地で購入する